解説

あらためて考える日銀ETF買い入れの意義と出口戦略

市場が欲する範囲で処分を始め、買い入れ余力を高める「奇策」も

一橋大学国際・公共政策大学院 特任教授 /下田 知行

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今年3月の方針変更後、日本銀行のETF買い入れペースは大幅に減速している。買い入れ残高というストックが積み上がったことで、日銀が抱えるリスク量も拡大し、買い入れというフローのリスクテイク能力が制約され始めている表れかもしれない。また、ストックの積み上がりは一部に価格形成のゆがみも生んでいる。日銀保有ETFの処分は2%目標を達成し買い入れが終了してからというのが「王道」であるが、市場にフレンドリーなやり方で徐々に処分を始めることで、かえって買い入れを持続的かつ積極的に行えるようになる。買い入れと処分が並行する「奇策」ではあるが、本稿ではこれを実現できる試案(私案)を示したい。

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しもだ ともゆき
89年東京大学法学部卒、日本銀行入行。国際決済銀行(BIS)派遣、信用機構室調査役、金融市場局企画役、金融機構局国際担当総括、国際通貨基金(IMF)日本代表理事代理、松山支店長、企画局審議役等を経て、18年から現職。趣味は世界中の動物園でカバを見て歩くことと宝塚観劇。