札幌市立大学 学長 /中島 秀之
2022年11月のChatGPT発表以来、急激にユーザーが増え、米マイクロソフトやグーグルといったIT大手も追随して対話システムを発表し、対話型AIは大きな社会現象となった。多くのユーザーがさまざまな新しい使い方を発見し、開発者ですら知らなかった対話型AIの能力が明らかになっている。しかし、万能ではないことも確かだ。人間並みの知能を持っていると誤解してはならない。統計的学習はしているが、推論はできない。正しい使い方をすれば有力な道具となる一方、悪用などの懸念もある。本稿では、対話型AIの仕組みとその限界、社会に与えるインパクトを考察する。
なかしま ひでゆき
東京大学情報工学専門課程修了(工学博士)。電総研、産総研サイバーアシスト研究センター長、公立はこだて未来大学長、東京大学先端人工知能寄附講座特任教授を経て現職。
掲載号 /週刊金融財政事情 2023年7月11日号