特集転換期の日本財政【税制編】

グローバル・デジタル経済下で現況を踏まえ国際課税原則を改定

「最低税率の設定」は一歩前進も「課税権の配分」は視界不良

一橋大学大学院 法学研究科 教授 /吉村 政穂

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タックス・ヘイブンなどを利用した多国籍企業の租税回避に対して、国際的な対応が進んでいる。経済協力開発機構(OECD)は「税源浸食と利益移転」(BEPS)プロジェクトを進め、2021年にはG20において国際課税改革の新しい枠組みに関する合意が承認された。合意内容は、第1の柱である「市場国への新たな課税権の配分」と、第2の柱である「租税競争を防ぐための最低税率の設定」から成る。第2の柱については先進国の一部で国内法改正が進むが、第1の柱については対象企業を多く抱える米国の条約批准の見通しが立たず、実現が危ぶまれている。本稿では、国際課税原則を巡る2010年代からの環境変化や国際的合意の内容を振り返り、現状と課題を整理する。

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よしむら まさお
99年東京大学法学部卒、同年東京大学大学院法学政治学研究科助手。07年横浜国立大学大学院国際社会科学研究科准教授、17年一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授等を経て、18年から現職。専門は法人税、国際課税など企業課税分野。政府税制調査会委員、総務省地方財政審議会特別委員。