解説

企業のGHG排出削減はパリ目標との整合性が問われる局面に

現状のGHG排出削減の取り組みでは「2℃シナリオ」さえも達成困難

三菱総合研究所 サステナビリティ本部 主席研究員 /阿由葉 真司

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2022年11月にエジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)では、途上国の「損失と被害(ロス&ダメージ)」支援のための基金創設が規定された。一方で、懸案の温室効果ガス(GHG)排出量の削減に関しては、1.5℃目標の堅持が表明された程度であり、新たな進展は見られなかった。加えて、エネルギー価格高騰を契機とした欧州の化石燃料回帰の動きを反映し、GHG排出量削減の取り組みにも不透明感がみられる。本稿では、こうした足元の状況を踏まえ、脱炭素社会実現の達成の方向性や気候関連情報開示と金融の役割について考察する。

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あゆは しんじ
現在、三菱総合研究所サステナビリティ本部にて気候変動×ファイナンス分野の政府向け・民間向けアドバイザリーに携わる。TCFDコンソーシアム事務局メンバー。前職の世界銀行では途上国向け気候変動ファイナンスの制度設計や気候関連情報開示の在り方などの調査を実施。マサチューセッツ工科大学(MBA)、東京大学博士(国際協力学)。東京大学大学院非常勤講師(サステナビリティファイナンスと情報開示)。