解説

「防衛費」を通じて明らかになる日本財政の課題とその処方箋

後年度負担を「見える化」し、縦割りの予算編成を改善せよ

東京財団政策研究所 研究主幹 /佐藤 主光

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ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮の核開発、中国の軍事力の増強など、わが国を巡る安全保障への懸念が高まるなか、防衛費の拡大が求められている。岸田文雄首相は防衛費の「相当な増額」を表明し、防衛省は2023年度から向こう5年間に必要な防衛費を約40兆円台前半と見積もる。ここで懸念されるのはその財源だ。鈴木財務相は「防衛費は恒常的に必要となる経費だ」と述べ、「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」も防衛費の財源について「幅広い税目による国民負担が必要」との考え方を示した。他方、国債発行による財源確保を容認する声も少なくない。本稿では、防衛費の財源の在り方や、防衛費が明らかにした日本の財政(予算制度)の課題とその処方箋について所見を述べたい。

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さとう もとひろ
92年一橋大学経済学部卒、98年カナダ・クイーンズ大学博士号(経済学)。99年一橋大学に着任、現在に至る。専門は財政学・税制、地方財政、社会保障。政府税制調査会、財務省財政制度等審議会、内閣府規制改革推進会議などを歴任。19年度日本経済学会石川賞受賞。