解説

共産党大会で確立した「習近平1強体制」の代償

忖度合戦が激しく繰り広げられ、政策の暴走リスクをはらむことも

大和総研 主席研究員 /齋藤 尚登

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • 印刷

腹心だけで周囲を固めた「習近平1強体制」が確立し、習政権は3期目に突入した。しかし、習氏が盤石な政治基盤を手に入れたことで、かえってその弊害の大きさが目に付きそうだ。現在、中台統一問題による地政学リスクの高まりや、米国など西側諸国との軋轢など、先行きの不安材料は少なくなく、難しい政策のかじ取りを迫られることになる。しかし、1強体制では、習氏が一度始めた政策が誤りであったとしても、途中で軌道修正することは難しく、事態をより悪化させる可能性が高い。さらには、習氏への忖度合戦が激しく繰り広げられ、政策の立案・遂行がその意図を超えて、あるいは意図に反して暴走するリスクをもはらんでいる。習氏にとっては意気揚々の船出になったかもしれないが、「一寸先は闇」になりかねない。

本記事をお読みいただくには
会員登録と購入が必要です。
月額会員の方はログインすると、
続きをお読みいただけます。

まだ登録されていないお客様

パスワードを忘れた方はこちら

さいとう なおと
98年大和総研入社、03年~10年北京駐在。帰国後、主任研究員を経て15年から現職。担当は中国経済・株式市場制度。財務省財務総合政策研究所中国研究会委員、金融庁中国金融研究会委員。