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政府の大号令でも難しい「賃上げ」の現実

第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト /熊野 英生

投稿日2022.10.07. /週刊金融財政事情

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岸田政権は「分配政策」という名称を使って、賃上げを促進しようとしている。それが実現できれば物価上昇の痛みを緩和できる。給与が増えると、暮らしの負担が軽くなるのは誰でもわかる理屈だ。しかし、どうすれば賃上げができるのか、その方法ははっきりしない。政府が賃上げを誘導するにしても限界がある。企業が「賃上げ促進税制」を使って賃金を上げても収益が増えるわけではないから、インセンティブ効果は乏しい。もともと賃上げをするつもりだった企業が、賃上げ促進税制を利用して法人税の還付が受けやすくなるということだろう。政府が大号令をかける賃上げは、果たして実現するのだろうか。

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くまの ひでお
90年横浜国立大学経済学部卒、日本銀行入行。00年第一生命経済研究所入社。11年から現職。専門は金融政策、財政政策、為替・長短金利、経済統計。