5年10倍増――。この数字は、「新しい資本主義」を掲げる岸田政権が経済政策の柱の一つに位置付けた「スタートアップ」への投資目標だ。政府はそのロードマップとなる「5カ年計画」を年末に策定し、世界から大きく後れを取ってきたスタートアップ振興の巻き返しを図る。だが、足元では各国における金融政策の引き締めなどを背景に、年明けからベンチャーキャピタル投資が減少に転じるなど、スタートアップの資金調達に逆風が吹いている。こうした状況の中で、日本はスタートアップを原動力とする成長の好循環を手繰り寄せることができるのか。経済を大きく変えるイノベーションを生み出し、将来の雇用を支える担い手にもなるスタートアップの創出に向けて、日本の「覚悟」と「施策」が問われている。
掲載号 /週刊金融財政事情 2022年8月9日号