解説

利上げに揺れる米MBS市場は過去の金融危機の轍を踏むか

サブプライム再燃の可能性は低いが、ノンバンクのリスクは残る

明治安田アセットマネジメント チーフストラテジスト /杉山 修司

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米国の住宅ローン担保証券(MBS)市場で、利回りが大きく上昇(債券価格は下落)している。背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)がMBSを市場で売却する意向を示していることや、過度な金融引き締めが景気悪化を招き、MBSローンの質を悪化させることへの懸念がある。市場関係者は、かつて住宅ローン市場を支えた米地域金融機関S&Lの大量破綻や、サブプライム問題を誘発した過度な金融引き締めによるローン延滞急増を警戒する。ただ、FRBのパウエル議長が過去の金融危機の「轍」を踏む公算は小さく、米MBS市場には世界各国から年金基金や保険会社など長期資金の流入が続くだろう。

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すぎやま しゅうじ
東京大学経済学部卒、日本銀行入行。景気調査等に従事後、社債格付けアナリスト(S&P)、ポートフォリオ・マネージャー(ドイチェ・アセットマネジメント)を経て現職。英国政府給付奨学生、LSE修士。