解説

SMBC日興証券事件、「安定操作」での処罰は妥当か

十分な議論なしに「母法」より厳格な法を適用していいのか

郷原総合コンプライアンス法律事務所 弁護士 /郷原 信郎

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3月4日、東京地検特捜部は、SMBC日興証券エクイティ本部のトレボー・ヒル本部長ら同社幹部4人を金融商品取引法違反の容疑で逮捕した。そして、その勾留満期の3月24日、同4人に1人を加えた5人と、法人としてのSMBC日興を金商法違反(違法安定操作)で起訴するとともに、佐藤俊弘副社長(当時)を同容疑で逮捕した(4月13日に起訴)。本件の主な争点は、「犯意」「共謀」などの事実認定の問題のようだが、日本の金商法(旧証券取引法)とその母法の米証取法の規定や、日本での関連法令の改正経過に照らすと、今回の事件は、そもそも金商法違反として処罰の対象とすべき行為なのか疑問がある。

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ごうはら のぶお
東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、06年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで総務省顧問、総務省年金業務監視委員会委員長、横浜市コンプライアンス顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長などを歴任。