解説

国税納付・補助金等の収支バランスに見る都道府県格差の実態

数字で明らかになる東京一極依存構造

財政評論家 /米澤 潤一

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 日本の国と地方の財政に関して、国に納付された税金の6割が地方交付税や補助金などのかたちで地方に還元され、国の手元には4割しか残らない。また、国税納付は東京都を中心とする大都市圏に圧倒的に集中し、これが広く全国の地方公共団体に配られていることは周知の事実である。しかし、各都道府県の住民が1人当たりどれだけの国税を納め、逆に国からいくら受け取っているかという差し引きのバランスや、それが合理的なのかといった具体的なデータは存在しない。国や地方の税財政の仕組みがあまりに複雑だからである。
 本稿ではまず、国税当局が収納した税収のうち、地方消費税などの地方に代行して収納した税目を除く、純粋の国税を都道府県別に算出する。次に、都道府県別の地方交付税、補助金その他の国からの受取金額を算出し、国からの受取(納付)超過額を都道府県別に算出する。その上で、これを1人当たり県民所得、人口増減率等の都道府県別県勢データを指標化したものと対比・相関分析して、都道府県別受取超過度合いの合理性と成長への効果を探り、地方財政政策検討の一助としたい。

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よねざわ じゅんいち
63年東京大学法学部卒、大蔵省(現財務省)入省。主計局主計官、理財局国債課長、同局次長、関税局長等を歴任。退官後日本銀行理事、金融情報システムセンター理事長、政策研究大学院大学客員教授等。『国債膨張の戦後史』(きんざい)ほか、財政関連著書論文多数。