法政大学 法学部 教授 /水野 和夫
法政大学 法学部 教授 /水野 和夫
投稿日2021.03.26. /週刊金融財政事情 2021年3月29日号
先進国においては、公的債務残高が歴史的な高水準にある一方、国債利回りは歴史的低水準にある。通常、財政危機は20世紀前半のワイマール共和国や2011年のギリシャがそうであったように、利回りの急騰と通貨安を招く。ところが、21世紀の現在、そうはならない。これを解くカギは、ケインズが『一般理論』で指摘したように「人間の歴史を通じて貯蓄性向が投資誘因よりも強力」であり、かつラ・フォンテーヌの言う「使わない資産(債務)は石だ」ということにある。
みずの かずお
77年早稲田大学政治経済学部卒。埼玉大学大学院経済科学研究科博士課程修了(経済学博士)。三菱UFJ証券チーフエコノミスト、内閣官房内閣審議官などを経て現職。著書に、『資本主義の終焉と歴史の危機』『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』(共に集英社新書)など多数。
掲載号 /週刊金融財政事情 2021年3月29日号