解説

金融業界における高齢顧客取引のルール化に向けた提言

医療同意能力を参考に高齢顧客のリスク商品の取引能力を評価

京都府立医科大学大学院 教授 /成本 迅

京都府立医科大学大学院 公認心理師 /樋山 雅美

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金融機関では、高齢者の認知症対応における課題解決に向けた取り組みが始まっているが、個々の対応には限界がある。営業店では、高齢者との取引判断が職員に委ねられるなどし、大きな負担がかかっているのが現状だ。認知機能の低下による金融取引への影響をどのように評価し、どのように他の機関と連携すればよいのか。業界全体でどのように取り組むべきか。本稿では、京都府立医科大学やフィンテック企業、金融機関で議論した「金融機関高齢顧客対応ワーキング・グループ報告書」の内容を解説しつつ、金融機関が取り組むべき高齢者対応について考えたい。

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なるもと じん
95年京都府立医科大学卒。京都府精神保健福祉総合センター、五条山病院を経て05年から京都府立医科大学勤務。16年7月から現職。認知症専門医として、老年精神医学の立場から高齢者の金融包摂のためのプロジェクトを推進中。

ひやま まさみ
18年関西大学大学院心理学研究科修了。同年から京都府立医科大学に勤務し、認知機能検査の実施、および意思決定支援に関する研究を行う。19年からWGの事務局を担当。公認心理師・臨床心理士。