解説

主要国金融当局が関心高めるモデルリスク管理

顕在化すれば甚大な影響も、ガバナンスは十分か

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 フィナンシャルエンジニアリング部 部長代理 /糸﨑 真一郎

東京大学 総合文化研究科 特任教授 /内田 善彦

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数理的なモデルは金融機関経営の戦略上重要な役割を担っており、リスク管理や資産価格評価だけではなく、AIを用いた与信審査や不正検知等、多様な業務で活用されている。一方、モデルを不適切に用いれば、時に想定と異なる結果をもたらし、財務的な損失や資本の毀損につながる恐れ(モデルリスク)がある。金融庁は、2020事務年度金融行政方針で、大手行グループ等のモデルリスク管理に高度化の余地がある旨を指摘し、監督の目線を高めている。本稿では、金融機関のリスク管理担当者等が参加する有志の「モデルリスク管理検討グループ」における議論の成果を踏まえ、モデルリスク管理の要諦を示したい。

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いとざき しんいちろう
12年三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、現職。資産価格評価、XVA、ISDA SIMM等のモデル開発に従事。日本証券業協会の金利指標問題に関する意見交換会主査。12年東京大学博士(数理科学)。

うちだ よしひこ
94年日本銀行入行。金融研究所企画役、金融機構局企画役、金融庁監督局監督企画官、東京大学公共政策大学院教授を経て現職。専門は、資産価格評価理論、金融リスク管理論。03年京都大学博士(経済学)。