個人が普段の生活シーンで、金融サービスを利用しやすくする取り組みが始まっている。「BaaS」(Banking as a Service=サービスとしてのバンキング)がそのコンセプトだ。BaaSとは、金融機関がAPIを介して預金・為替・融資といった金融機能をサービスとして外部企業に提供し、その外部企業が自社のサービスに金融機能を組み込んでエンドユーザーに利用してもらうこと。エンドユーザーは、外部企業のサービスを利用する際、いつの間にか決済などの金融サービスも受けているので、手間を省けるメリットがある。同様の仕組みのもと、証券や保険などの分野でも外部企業への金融機能の提供が始まっている。
BaaSの手法は、エンドユーザーに近い事業者が展開するスマートフォンアプリなどに金融機能を組み込んで提供することから、「Embedded Finance(組み込み型金融)」と形容されることもある。その利便性の高さから、BaaSはこれから急速に広がるとみられており、近未来の金融サービスのかたちを大きく変えるかもしれない。
掲載号 /週刊金融財政事情 2021年2月8日号