特集問い直される公的金融

民間金融と公的金融の関係を巡る二つの変化

貸出金利では競合するも、貸出手法では補完関係

一橋大学 経済研究所 教授 /植杉 威一郎

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • 印刷

中小企業向け政府系金融機関に対しては、商工中金の不祥事をきっかけに、民業圧迫の問題がふたたび注目を集めている。この問題を論じるにあたっては、過去10年間における政府系金融機関の貸出手法の変化が大きく二つあることに留意する必要がある。それは、リスクに応じた金利設定の導入のように「民間金融機関との競合を激しくするもの」と、無担保貸出の提供のように民間金融機関が大規模には実施しておらず「政府系が補完的な役割を果たすもの」である。

本記事をお読みいただくには
会員登録と購入が必要です。
月額会員の方はログインすると、
続きをお読みいただけます。

まだ登録されていないお客様

パスワードを忘れた方はこちら

うえすぎ いいちろう
93年東京大学経済学部卒、通商産業省(現経済産業省)入省。00年カリフォルニア大学サンディエゴ校経済学博士課程修了Ph.D.(Economics)、経済産業政策局、中小企業庁などを経て、11年一橋大学経済研究所准教授、15年から現職。経済産業研究所ファカルティフェロー。