特集金融政策”異次元”の帰趨

日銀は銀行券の「固定相場」制の放棄も視野に入れるべき

インフレ実現が見通せない以上、タブー視されている政策実行も検討の俎上に

東京大学大学院経済学研究科 教授/ナウキャスト創業者・技術顧問 /渡辺 努

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日銀の黒田総裁による異次元金融緩和の開始から間もなく5年になる。日銀は2%の消費者物価上昇を目標として掲げ大規模な量的緩和やマイナス金利政策を実施してきたが、現状、消費者物価上昇率はゼロ近傍で推移しており、デフレからの脱却を果たせていない。しかし5年間の緩和を通じて、デフレ発生の仕組みについて新たに見えてきたことも少なくない。以下では、今回の緩和を「調整インフレ」の視点からあらためて整理したうえで、物価の現状と金融政策の今後の選択肢について説明する。

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わたなべ つとむ
82年東京大学経済学部卒、日本銀行入行。92年ハーバード大学Ph.D(経済学専攻)。11年から現職。