ニッセイ基礎研究所 主任研究員 /福本 勇樹
英国FCA長官が2017年7月に、21年末以降はリファレンス・バンクにLIBORを公表するためのレート呈示を強制しない意向を表明したことで、市場参加者は同年末をもってLIBORが廃止されるものと受け止めている。LIBORの廃止により、LIBORを参照する貸出・デリバティブの契約面の整理、時価評価やリスク管理におけるシステム更改、新金利指標を参照する金融商品を用いた取引への移行など膨大な作業が予想される。そのため、LIBORのエクスポージャーを計画的に減らしていくことが邦銀には求められる。21年末が近づくにつれ、LIBOR/OISスプレッドの拡大が止まらなくなることで引き起こされる金融システム不安が、現時点で想定される最悪のリスクシナリオといえる。
ふくもと ゆうき
05年京都大学大学院経済学研究科修了、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)入社。14年9月ニッセイ基礎研究所入社。18年7月から現職。主な研究テーマは価格評価、リスク管理、債券投資など。
掲載号 /週刊金融財政事情 2018年9月17日号