MBO(マネジメント・バイアウト)は、経営の効率化や上場維持コスト削減などのメリットがある一方、株式譲渡時における少数株主との利益相反や情報の非対称性といった構造的問題も指摘されている。政府は公正性を確保すべくMBOの実施に関する企業の行動指針を定めてきたが、投資家からはその実効性に懐疑的な声も上がっていた。こうしたなか、日本取引所グループは上場規程等を見直し、社外取締役など第三者で構成する特別委員会でMBO実施の妥当性を検証するよう、上場企業に対して義務付けた。将来的に、MBOを成功に導く上で、社外取締役の役割がクローズアップされるとともに、中長期の成長ストーリーを明確化していくことが求められるだろう。
掲載号 /週刊金融財政事情 2025年7月22日号