新興企業が集まり、高い成長を期待されている東京証券取引所のグロース市場。ただ実際は、時価総額が小さいまま上場し、その後の資金調達にも苦戦する企業が多い。企業が上場後に成長する姿を描かず、上場自体を目的としてしまう「IPOゴール」もいまだに絶えない。その結果、株価が低迷する「成長なき市場」と化している。
こうしたなか、東証は「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」で、グロース市場の活性化に向けた取り組みを検討し始めた。ソフト面では、グロース市場の全上場企業に対して、成長目標や施策に関する開示の充実化を求める。ハード面では、上場後に基準を下回った場合に上場廃止につながる「上場維持基準」の引き上げも視野に入れる。
東証が2023年にプライム市場やスタンダード市場の上場企業向けに打ち出した「資本コストや株価を意識した経営」は、企業の株価向上に向けたさまざまな取り組みを促し、歴史的な株高を呼び込んだ。次は、停滞するグロース市場をいかにテコ入れするのかが問われてくる。
掲載号 /週刊金融財政事情 2025年4月1日号