特集加速する人的資本経営

金融機関の有価証券報告書における人的資本開示の現状と課題

多様性指標は向上、説明の一貫性や独自指標に改善の余地

大和総研 金融調査部 ESG調査課長 主任研究員 /太田 珠美

大和総研 金融調査部 研究員 /中 澪

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2023年3月期の有価証券報告書から人的資本情報の開示が義務化された。背景には、投資家が企業のサステナビリティー情報に関心を高めていることがある。24年3月期における銀行業の有価証券報告書では、前事業年度比で女性管理職比率、男女間賃金格差に若干の改善が見られた。また、人的資本の戦略だけでなくリスクに関する情報を記載する、戦略にひも付いた指標を新たに設定する、人的資本の戦略と中期経営計画との関係性を明確にするといった改善も見られている。本稿では、2年目を迎えた有報の人的資本開示について、銀行の現状と課題を分析する。

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おおた たまみ
慶應義塾大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科ファイナンス専攻専門職学位課程修了。大和証券入社後、大和総研に転籍。日本株式市場、コーポレート・ファイナンスの調査などを担当。19年から現職。著書に『資本市場に向けた人的資本開示』(金融財政事情研究会、24年3月、共著)ほか。

なか れい
早稲田大学政治経済学部卒、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で修士(社会調査法)および修士(国際社会公共政策)取得。大和総研入社後、官公庁や政府系金融機関からの受託調査に従事。英国大学院留学を経て現職。著書に『資本市場に向けた人的資本開示』(金融財政事情研究会、24年3月、共著)