注目の論点総点検 保険会社のソルベンシー規制

ESR規制に内在する「大量解約要素」への対応の必要性

資産負債管理と整合的なシグナリング能力の喪失懸念

明治大学 総合数理学部 教授 /松山 直樹

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金融庁で有識者会議を設置して議論を深め、丁寧に準備が進められてきた経済価値ベースのソルベンシー規制(第1の柱の定量規制)。金融庁は5月末に「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する残論点の方向性」を取りまとめ、来年度の導入に向けて最終段階に入りつつある。この新規制は、国際的な保険資本基準の枠組みに準拠するものであり、従来の規制との最大の相違点は、契約時に固定する責任準備金ではなく、現在の市場環境と整合的な経済価値で保険負債を評価する点にある。これにより、資産負債管理と整合的なシグナリングを行えることが期待されていたが、今それが揺らいでいる。

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まつやま なおき
明治安田生命保険を経て、09年明治大学理工学部教授、13年から現職。「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する有識者会議(19年度)」に参加。日本アクチュアリー会正会員。