第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト /熊野 英生
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植田和男日銀総裁が5月7日に、官邸に呼ばれたときから、日銀は円安阻止の優先順位を格上げしたように思える。財務省は、4月29日と5月2日の両日で約9兆8,000億円もの介入資金を投じて円安阻止に動いた。その後、米国のイエレン財務長官は、「為替介入は滅多に行うものではない」と暗に日本をたしなめた。米国は、長く日本を「為替操作国」と報告書に記述してきたが、2023年6月にようやくそれを修正している。当然ながら日本は、再び為替操作国と認定されたくはない。為替介入を行いにくい状況下で、日銀は円安対応を迫られることになる。
くまの ひでお
90年横浜国立大学経済学部卒、日本銀行入行。00年第一生命経済研究所入社。11年から現職。専門は金融政策、財政政策、為替・長短金利、経済統計。
掲載号 /週刊金融財政事情