特集混迷する日本の財政

岸田政権の不透明な歳出拡大でともる債務持続性の黄信号

財政規律のブレーキが壊れ、歯止めがかからない国債頼みの政策

BNPパリバ証券 チーフエコノミスト /河野 龍太郎

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歴代の政権は恒久的な財源を見いだすことができず、一時的に歳出を拡大することがあっても、恒久的な歳出拡大には二の足を踏んできた。バラマキ財政の印象が強かった安倍晋三政権ですら、それが大きな制約となっていた。しかし、岸田文雄政権の財政スタンスは、歴代政権から大きく逸脱している。コロナ収束後の経済再開が進み、景気が持ち直しつつあるなか、新たな恒久的歳出を決定する一方で、具体的な財源の捻出については議論を棚上げにしている。歳出削減や歳入強化も一定程度打ち出しているものの、財源確保は極めて局所的にとどまり、相当期間にわたって歳出増が先行することは火を見るよりも明らかだ。

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こうの りゅうたろう
横浜国立大学経済学部卒。87年住友銀行入行。大和投資顧問、第一生命経済研究所を経て、00年から現職。23年7月から東京大学先端科学技術研究センター客員上級研究員。23年の日経ヴェリタスエコノミスト人気調査で3年連続、10回目の首位に選ばれる。著書に『成長の臨界』や『グローバルインフレーションの深層』(共に慶應義塾大学出版会)、共訳にアラン・ブラインダー『金融政策の理論と実践』(東洋経済新報社)など。