第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト /熊野 英生
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日本銀行が今年3月か4月にもマイナス金利解除を狙って動き出す可能性は高い。正月に能登半島地震が起こり、その潜在的不安があってもマイナス金利を解除できるだけの説得力のある判断材料が求められる。その点、日銀は、春闘の賃上げに注目しており、マイナス金利を解除するには、十分に高い賃上げ率を実現することが一つのメルクマールになることは間違いない。前年の3.58%(連合ベース。定昇を含む)を上回ることが条件だとみる人も多い。もう一つのメルクマールは、毎月勤労統計などで実質賃金がプラスになることだ。この二つのメルクマール達成こそ、日銀が金融政策を転換する上での必須条件といえよう。
くまの ひでお
90年横浜国立大学経済学部卒、日本銀行入行。00年第一生命経済研究所入社。11年から現職。専門は金融政策、財政政策、為替・長短金利、経済統計。
掲載号 /週刊金融財政事情