第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト /熊野 英生
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日経平均株価が3万円台を付けた背景には、上場企業の収益拡大を先取りしていることがあるといわれる。確かに、世界経済は欧米中央銀行の利上げによる景気失速懸念が重しになっているが、経済回復の勢いが予想外に強く、企業収益はより強靭さを増している。日本では、5月8日に新型コロナを2類相当から5類へと分類を見直した。2023年に入り、不振だった飲食・宿泊サービス、娯楽、生活関連サービスが息を吹き返している。さらに、株価上昇による消費刺激が、百貨店販売など高級品の支出拡大に貢献しそうだ。国内消費は、賃上げやインバウンド消費の増加といった好材料にも恵まれている。そこで、こうした環境の下で、上場企業の稼ぐ力の実態について分析する。
くまの ひでお
90年横浜国立大学経済学部卒、日本銀行入行。00年第一生命経済研究所入社。11年から現職。専門は金融政策、財政政策、為替・長短金利、経済統計。
掲載号 /週刊金融財政事情