解説

積み上がった国債残高「1,000兆円」の要因分析と今後の課題

低金利に甘えることなく、PBの一刻も早い均衡を目指せ

財政評論家 /米澤 潤一

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 バブル崩壊後に「大型金融破綻」「リーマンショック」「アベノミクス」と、ことあるごとに悪化を重ねてきた日本の国家財政。この3年間のコロナ禍への対応で、財政悪化はさらに加速しており、2022(令和4)年度末にはついに普通国債残高が1,000兆円に達し、GDP比180%を超えた。筆者は、本誌2001年8月20日号・27日号に、本邦で初めてプライマリーバランス(PB)の推移に着目して財政構造分析を行った「プライマリー・バランス分析からみた財政構造悪化の軌跡」(上・下)を寄稿し、その後もこのアプローチを更新してきた。足元では、「防衛力強化策」「少子化対策」という新規政策が、その財源論とともに浮上し、悪化した財政状況に追い打ちをかけている。本稿では、日本の財政について、歳入・歳出両面の構造要因と、円高・景気対策やコロナ禍への対応といった臨時要因に分解し、PBの推移を時期別に分析した上で、今後の課題を探ってみたい。

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よねざわ じゅんいち
63年東京大学法学部卒、大蔵省(現財務省)入省。主計局主計官、理財局国債課長、同局次長、関税局長等を歴任。退官後日本銀行理事、金融情報システムセンター理事長、政策研究大学院大学客員教授等。『国債膨張の戦後史』(金融財政事情研究会)ほか、財政関連著書論文多数。