特集徹底検証! 植田日銀の金融政策

日銀新総裁に期待する金融政策のかじ取り

いずれ大きな混乱を招くYCCは撤廃ないし大幅な柔軟化が必要

みずほリサーチ&テクノロジーズ エグゼクティブエコノミスト /門間 一夫

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異次元緩和の大きな効果はなかったが、大きな副作用もなかった。「財政規律を失わせた」「非効率な企業の温存につながった」などの批判は言い過ぎだ。ただし、「長短金利操作」(イールドカーブ・コントロール=YCC)には、国債市場の機能を低下させ、日本銀行の情報発信を難しくするなどの問題がある。植田和男総裁が率いる新体制には、まずYCCの撤廃ないし大幅修正を望む。ほかにも、2%物価目標の位置付けの再整理、英語での情報発信の強化、日銀の金融政策と政府の経済政策との関係についての説明強化など、腰を据えて取り組むべき課題への対応を期待したい。

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もんま かずお
81年東京大学経済学部卒。88年米国ウォートンスクールMBA。81年日本銀行入行。調査統計局長、企画局長を経て、12年金融政策担当理事、13年国際担当理事。16年6月から現職。