解説

VaRでは捉えられないリスク推定に有効な極値統計アプローチ

再現期間を用いたストレスシナリオでめったに起こらないリスク頻度を捕捉

野村証券 ポートフォリオ・コンサルティング部 ポートフォリオ課 /石黒 悠里

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どのようにリスクを定量的に評価するか──。これはリスク管理を行う上での重要な課題の一つである。低金利環境下において、金融機関は投資するアセットクラスを拡張しているが、それに伴って重要となるのがリスク管理の高度化である。近年は、VaR(バリュー・アット・リスク)が金融機関のリスク管理で一般的に用いられるようになったが、テールリスクが捉えられないなどリスク指標としての問題点もいくつか指摘され、VaR以外の方法も用いた包括的なリスク管理体制が求められている。本稿では、極値統計学を用いて、VaRでは捉えられないようなリスクを定量的に推定するアプローチについて提案する。

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いしぐろ ゆうり
17年東京工業大学理学部卒。19年東京大学大学院工学系研究科修了、野村証券入社。以来、金融機関のリスク管理および有価証券ポートフォリオ分析業務に従事。主に統計的な分析手法の開発などを担当。