解説

監督当局が金融機関に求める「気候変動対応」の問題点

日本や災害地域の視点が欠けた議論では対応の「持続可能性」を脆弱にする恐れ

RAF研究所 代表 /大山 剛

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金融庁は4月末に「金融機関における気候変動への対応についての基本的な考え方(案)」を公表した。その内容は、バーゼル銀行監督委員会等がすでに公表したガイダンスにほぼ準拠する内容であり、金融機関の積極的な気候変動対応を促す国際的な流れと軌を一にするものである。もっとも、気候変動対応という「壮大な」政策実験に関し、果たして海外で議論されている内容をそのまま日本に持ち込むことが望ましいのかについては、議論の余地がある。本稿では、気候変動対応の「持続可能性」を高めるために、いま議論すべき論点を提示したい。

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おおやま つよし
85年一橋大学経済学部卒、日本銀行入行。マクロ経済分析を担当、統括。国際通貨基金政策開発局出向。以降08年6月まで日本銀行金融機構局参事役。その後は大手コンサルティング会社で、主要金融機関や事業法人に対するリスク管理(特にストレステスティングの高度化やリスクアペタイト・フレームワークの構築)に係るコンサルティング・セクションを統括。22年4月から現職。