解説

実証分析に見る短期的な元本割れ回避行動の問題点

短期の運用評価だけではポートフォリオの最適化を妨げかねない

金融庁 金融研究センター センター長 /吉野 直行

金融庁 総合政策局総合政策課 課長補佐 /津曲 眞樹

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日本における家計・企業・機関投資家の資産運用では、元本割れを極端に避けようとする行動が多く見られる。こうした行動は日本の特徴といえるが、リスク・リターン特性を勘案した最適なポートフォリオ選択行動をかえってゆがめ、効率的な資産運用を妨げている可能性がある。近年、SDGsやESGという、株式や債券の発行主体の社会的責任への向き合い方に長期的な価値を見いだす枠組みも注目されている。資産単体の短期的な元本割れリスクのみにとらわれず、5年や10年といった長期の視点でのポートフォリオのリスク・リターン特性を重視することで、元本割れリスクも回避しつつ、より効果的な資産運用が実現できると考える。

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よしの なおゆき
慶應義塾大学経済学部名誉教授、政策研究大学院大学客員教授、東京大学公共政策大学院非常勤講師等も勤める。東北大学経済学部卒、米国ジョンズホプキンス大学大学院経済学博士(PhD)。

つまがり まさき
世界銀行上席投資担当官、国際農業開発基金CFO顧問、Tsumagari & Co.代表取締役を経て、金融庁入庁。OECD/INFE諮問委員(現職)。エール経営大学院MBA。CFA。