解説

日本企業の時価総額は金庫株で「水増し」されている

発行済み株式数は自己株式を除いた実質ベースで把握すべし

一橋大学大学院 経営管理研究科 教授 /田村 俊夫

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日本企業の時価総額は「株価×発行済み株式数」で計算されることが多いが、自己株式(金庫株)を保有する企業の場合、これは「水増し表示」となっている。理論的には時価総額は自己株式を除いた発行済み株式数ベースで計算するべきであり、それが海外のスタンダードでもある。時価総額計算の誤りを是正するためにも、自己株式を除く発行済み株式数に対応する適切な用語を定め、有価証券報告書や決算短信で開示させることが望まれる(注1)。

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たむら としお
86年東京大学法学部卒、日本興業銀行入行。89年ハーバードロースクール修士。ニューヨーク州弁護士。世界銀行グループIFC投融資担当官、みずほ証券投資銀行第7部長、経営調査部上級研究員、一橋大学客員教授等を経て17年から現職。専門はM&A、コーポレートファイナンス、コーポレートガバナンス。