解説

「ロコ・ロンドン」の懸念を払拭した安定調達比率の例外措置

規制対象外の団体が意見書を提出、英当局が適用条項を変更

マーケット・リスク・アドバイザリー 客員フェロー /福島 良治

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今年前半、ロンドンにおいてバーゼル3が金(ゴールド)市場に大きな影響を与えるのではないかと話題になり、業界団体と英国当局の間で議論された。バーゼル3の新しい規制である安定調達比率(NSFR=Net Stable Funding Ratio)が導入されるためである。新しい規制がマーケットに大きな影響を及ぼす可能性があるなか、直接的な金融業界とはいえない団体が金融当局と議論して制度変更がなされた。本稿では、規制導入のプロセスにおいて興味深い示唆が得られる事例として、その経緯を紹介したい。なお、本稿の内容は、筆者の関係する組織等とは無関係であり、意見にわたる部分は個人的なものであることをあらかじめお断りしておく。

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ふくしま りょうじ
84年東大法卒、日本長期信用銀行、現みずほ銀行、みずほ第一フィナンシャルテクノロジー(代表取締役常務)、早大大学院客員教授等を経て、現在みずほ第一フィナンシャルテクノロジー・エグゼクティブ・アドバイザー、UCカード監査役、マーケット・リスク・アドバイザリー客員フェロー、専修大大学院非常勤講師等。博士(経済学)。主著に『企業価値向上のデリバティブ-リスクヘッジを超えて』『デリバティブ取引の法務・第5版』『スワップ取引のすべて・第5版(共著)』(以上、金融財政事情研究会)、『英雄詩伝─漢詩で読むリーダーの生き方』(日本経済新聞出版)等。