銀行は、長引く低金利環境下による預貸業務の低収益化が響き、店舗の統廃合を加速させてきた。ところが日本銀行の金融政策の転換による金利上昇を受け、預金や融資、相談ニーズを取り込む場として銀行店舗の存在意義を見直し始めている。実店舗で対面相談を提供することは、口座数や預金残高で急伸するネット銀行との差別化要素になる。
もっとも、人口減少やデジタル化が進展するなか、銀行窓口の利用者数が減少傾向にある点は変わらない。そのため、大手行では人流の多い商業施設内などにターゲットを移し、個人顧客向けに機能を限定した店舗を開設する動きが広がっている。地方銀行でも人口増加が見込める地域において、機能を絞り込んだ店舗を開設する事例が増えてきている。
「金利のある世界」で、銀行はいかに店舗戦略を展開していくべきか。同様に店舗網の再評価に動いている海外銀行の事例も参考にしながら、これからの店舗の在り方を考える。
掲載号 /週刊金融財政事情 2025年5月27日号