グローバルリスクアンドガバナンス 代表 /藤井 健司
グローバルリスクアンドガバナンス 代表 /藤井 健司
投稿日2021.06.04. /週刊金融財政事情 2021年6月8日号
今年3月下旬、アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引に関連して、複数の大手金融機関が合計1兆円を超える損失を被ったと公表した。損失の直接の原因は、IT関連株式を対象としたトータルリターンスワップと呼ばれるデリバティブ取引であったが、そこでは米国資本市場のエコシステムと呼ぶべき資金調達運用のメカニズムと、マージンコールを主要ツールとした市場性信用リスクの管理手法が大きく影響していた。本稿ではその仕組みを解説するとともに、アルケゴス問題が示唆する資本市場への課題について考察する。
ふじい けんじ
東京大学経済学部卒。ペンシルヴェニア大学ウォートンスクール経営学修士。81年日本長期信用銀行に入行。04年UFJ銀行総合リスク管理部長、07年あおぞら銀行専務執行役員、14年みずほ証券常務執行役員グローバルリスクマネジメントヘッドを経て、20年6月から現職。(コンタクト先globalrisk2020@nifty.com)
掲載号 /週刊金融財政事情 2021年6月8日号