特集高齢社会と金融サービス

認知機能低下による経済行動の変化と金融サービス

誰もが加齢とともに意思決定の質が低下する可能性がある

慶應義塾大学 ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター長 /駒村 康平

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日本が直面する超高齢・長寿社会においては、「加齢と意思決定の経済学」が重要になる。多くの人が認知機能の低下を経験することになれば、金融サービスの提供に当たっても、意思決定の質の低下を踏まえた高齢顧客の支援が求められる。加齢による認知機能の低下に関する基礎研究は、脳科学をはじめ多くの研究領域で活発に行われているが、その知見はまだ現実の法律や経済といった分野まで共有されておらず、社会経済システムの実装にまでには至っていない。本稿では、これらの分野の研究を紹介し、それが高齢社会における金融サービスにどのような意味があるのかを検討したい。

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こまむら こうへい
95年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。09~12年厚生労働省顧問。10年から社会保障審議会委員、12~13年社会保障制度改革国民会議委員、18年から金融庁金融審議会市場ワーキング・グループ委員。著書に『年金はどうなる』(岩波書店)、『最低所得保障』(同)、『日本の年金』(同)、『社会政策』(有斐閣)など。受賞歴は、日本経済政策学会優秀論文賞、生活経済学会奨励賞、吉村賞、生活経済学会賞など。日本経済政策学会副会長、生活経済学会副会長。