特集世界で進むステークホルダー資本主義

BRT声明の実態と、真の脱株主資本主義

包括的な社会全体の価値まで包含したステークホルダー概念に対応せよ

一橋大学大学院 経営管理研究科 教授 /田村 俊夫

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2019年に米経営者団体ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)が株主中心主義を否定する声明を発表して以来、ステークホルダー資本主義の動きが活発化しているが、BRTの真の狙いは「経営者第一」を強めるものとの疑念は拭えない。他方、旧来の株主資本主義では長期的経済・社会問題に対処できないとの懸念が高まっていることも事実である。大手年金基金等は、気候変動問題を契機に、経済・社会に大きな影響を与える問題を投資リスクと見なしている。地球環境や社会問題を含むステークホルダーの利益を重視することが強く求められよう(注1)。

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たむら としお
86年東京大学法学部卒業、日本興業銀行入行。89年ハーバードロースクール修士。ニューヨーク州弁護士。国際金融公社投融資担当官、みずほ証券投資銀行第7部長、経営調査部上級研究員、一橋大学客員教授等を経て17年から現職。専門はM&A、コーポレートファイナンス、コーポレートガバナンス。みずほ証券グローバル戦略部客員上級研究員。