特集中銀デジタル通貨の羅針盤

中国・欧州で高まる発行機運、日本は慎重に検討を進めよ

日本でデジタル人民元が利用されるリスクは限定的

野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト /木内 登英

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中国が2022年までにデジタル人民元の発行を目指すなど、中銀デジタル通貨(CBDC)発行に向けた動きが世界で強まってきた。ただし、発行の狙いは各国でまちまちだ。スウェーデンは金融包摂、中国は人民元の国際化を通じた米国金融覇権への挑戦、欧州中央銀行(ECB)はデジタル人民元への対抗。日本は、まず他国に大きく後れを取っているキャッシュレス化を進め、利用者の利便性を高めるとともに、経済効率を高める観点から発行を慎重に検討するべきだ。

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きうち たかひで
早稲田大学政治経済学部卒業。87年野村総合研究所入社。90年同研究所ドイツ、96年同研究所米国にそれぞれ勤務。07年野村証券金融経済研究所、経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年日本銀行の政策委員会審議委員に就任し、金融政策その他の業務を5年間担った。17年7月から現職。最新著書に『決定版 リブラ』。