解説シリーズ 攻防 新型ウイルス危機 第7回・完

コロナショック後に問われる財政運営の綱渡り

インフレリスクに備えつつ、医療体制改革で財政健全化を

慶應義塾大学 経済学部 教授 /土居 丈朗

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新型コロナウイルス感染症対策で、国債増発は未曽有の規模となった。対策は臨時的なものにとどめ、感染収束後の税収回復を見据え、2025年度の財政健全化目標は堅持すべきである。その際、国債費と医療費には注意が必要である。収束後に起き得るインフレに伴う金利上昇で、国債費が増大し、政策的経費を圧迫する恐れがある。感染防止への医療従事者の労を多としつつも、政権が医療界に作った「借り」が医療費の増加を抑えにくくしかねない。

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どい たけろう
93年大阪大学経済学部卒。99年東京大学で経済学博士号取得。慶應義塾大学准教授等を経て09年4月から現職。税制調査会、社会保障制度改革推進会議、財政制度等審議会、産業構造審議会等で委員を兼務。著書は『地方債改革の経済学』(日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞同時受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』(中央公論新社、近刊)等多数。専門分野は財政学。