野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト /木内 登英
野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト /木内 登英
投稿日2018.01.08. /週刊金融財政事情 2018年1月8日号
2018年には、米欧に続いて日本でも金融政策の事実上の正常化が進むことが見込まれ、グローバル金融市場の大きな注目点となろう。事実上の正常化の進展とは、イールドカーブ・コントロールの枠組みの見直しであり、早ければ18年早々にも、ゼロ%程度とする長期金利ターゲットを10年国債から5年国債へと変更する「目標の短期化」が実施される可能性があると考える。この見直しにより、海外で長期金利が上昇したとしても、日銀の国債買入額の増加を抑えることができ、5年超のイールドカーブがスティープ化することで金融機関の収益環境も改善する。5年に短期化しても目標水準はゼロ%で変わらないので「政策変更ではない」と説明でき、2%の物価目標との整合性も問われないと思われる。
きうち たかひで
早稲田大学政治経済学部卒。87年に野村総合研究所に入社後、ドイツ、米国での勤務を経験。07年に野村証券金融経済研究所・経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年に日本銀行の政策委員会審議委員に就任し、金融政策その他の業務を5年間担った。
掲載号 /週刊金融財政事情 2018年1月8日号