解説

EU離脱でデリバティブ取引への懸念を強める英シティ

たった1年間の猶予期間とECBの「拠点政策」がシティから覇権を奪うか

大和総研ロンドンリサーチセンター長/シニアエコノミスト /菅野 泰夫

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英国がなんの取決めもないままEUから離脱する「合意なき離脱」の可能性が高まっている。その場合、EUの金融機関はデリバティブ取引の清算・決済にあたって英国のクリアリングハウスを利用できなくなり、約40兆ポンドの契約が無効になるともいわれている。EU側は、欧州への契約移管のために1年間の猶予措置を設けることとしたが、ユーロ建て取引の清算・決済はユーロ圏内のクリアリングハウスで行う「拠点政策」の進行を含め、欧州の都市に新たな金融街として覇権を握らせようとする思惑も見え隠れする。1年間の猶予期間後の取扱いも今後の焦点となる。

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すげの やすお
99年大和総研入社。年金運用コンサルティング部、企業財務戦略部、金融・公共コンサルティング部、資本市場調査部を経て13年4月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。