解説

「政府債務上限」復活後の米国財政と長期金利の見通し

今秋、米財政が金融市場の不透明要因になる可能性も

SMBC日興証券 金融経済調査部部長 金融財政アナリスト /末澤 豪謙

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メキシコ国境への壁建設問題は、トランプ大統領と民主党との最大の対立軸であり、今後、下院主導で編成される2020会計年度(19年10月1日~20年9月30日)予算の成立などにも大きな障害となりうる。今年3月2日に再設定された債務上限下でも、9月末までは米財政は資金繰りを維持できる見通しだが、2020会計年度の予算法案成立が遅れると、10月1日以降は、政府機関閉鎖と米国債のデフォルトリスクが重なることになりかねない。ただし、FRBがハト派化しているため、19年の米長期金利は2%台後半を中心としたレンジ圏での推移がメインシナリオ。米経済が好調な現在、米国債格下げリスクは低いとみている。

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すえざわ ひでのり
84年大阪大学法学部卒、三井銀行(現三井住友銀行)入行。11年SMBC日興証券金融市場調査部長、13年から現職。財務省・財政制度等審議会委員等、公職も歴任。