みずほ総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト /門間 一夫
みずほ総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト /門間 一夫
投稿日2019.08.19. /週刊金融財政事情 2019年8月19日号
経済が好調な中で米連邦準備制度理事会(FRB)は予防的利下げを決め、欧州中央銀行(ECB)も追加緩和を示唆している。完全雇用がほぼ達成されている状況下での金融緩和は、特に米国では将来のインフレ圧力を急速に高め、金融面での不均衡を蓄積する可能性がある。しかし、最も問われるべきは低金利を長期化させている理論的背景であり、そもそも5年以上もマイナス金利を続ける事態は理論では想定されていない。デフレ方向のショックがニューノーマルならば、金融政策の責任で「物価の安定」を実現すべきであるという根本哲学を改める必要がありそうだ。
もんま かずお
81年東京大学経済学部卒。88年米国ウォートンスクールMBA。81年日本銀行入行。調査統計局長、企画局長を経て、12年金融政策担当理事、13年国際担当理事。16年6月から現職。
掲載号 /週刊金融財政事情 2019年8月19日号