成蹊大学 経済学部 教授/独ゲーテ大学 SAFE上級客員研究員 /永野護
成蹊大学 経済学部 教授/独ゲーテ大学 SAFE上級客員研究員 /永野護
投稿日2019.07.29. /週刊金融財政事情 2019年7月29日号
創業以来、最大ともいわれる経営不振に見舞われるドイツ銀行が、大規模な人員削減を中心とする経営再建計画を発表している。過去30年間、市場金融ビジネスの覇者を目指したドイツ銀行の経営が不振を極めた理由の一つが、証券トレーディング、投資銀行事業への過度な依存である。この背景には、低金利環境における国内企業融資の収益力低下、国内リテール市場でのコミュニティ・バンクに対する競争劣位がある。1990年代に一度は決別したはずの国内ホールセール事業への回帰による経営再建は、必ずしも容易ではない。ドイツ銀行の今は、将来の邦銀の姿をも暗示している可能性もある。
ながの まもる
横浜市立大学卒、大阪大学大学院博士課程修了。博士(国際公共政策)。専攻は実証ファイナンス、国際金融論。三菱総合研究所、アジア開発銀行を経て12年から現職。18年ドイツ連邦銀行客員研究員を、19年から独ゲーテ大学客員研究員を兼務。
掲載号 /週刊金融財政事情 2019年7月29日号