解説

わが国の住宅価格形成メカニズムと住宅金融制度の方向性

非遡及型融資制度への転換も選択肢の一つ

武蔵野大学経済学部教授/慶應義塾大学名誉教授 /瀬古美喜

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不動産価格の変動は、家計や企業の消費・投資行動の変化を通じて、マクロ経済に多大な影響を与える。わが国の住宅金融は溯及型融資制度(リコースローン)に基づいているために、流動性制約が家計の著しい転居阻害要因になっており、それが住宅価格の変動にも多大な影響を及ぼしている。本稿では、以上のような経路の一つとして、わが国の住宅金融制度を前提とした家計の転居行動と、それが住宅価格変動に及ぼす影響に関して、ミクロとマクロの両面から行った実証分析を紹介する。

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せこ みき
72年慶應義塾大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。MIT大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。日本大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授等を経て13年から武蔵野大学政治経済学部教授。14年から現職。アジア不動産学会会長等を歴任。主な著書に、『日本の住宅市場と家計行動』(東京大学出版会、14年、第57回日経・経済図書文化賞受賞)など。専門は都市経済学、応用ミクロ経済学。博士(経済学)。