解説

平成30年間の公共投資を振り返る──地域経済に及ぼした効果(上)

失われた財政本来の建設的機能、「豪雨被害」激甚化の一因にも

元日本銀行理事/元政策研究大学院大学客員教授 /米澤 潤一

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間もなく平成年間が終わろうとしている。この間の公共投資を振り返ると、まずバブル崩壊後の景気対策としての公共投資膨張は、生産性が伸びない建設業の雇用シェアだけが伸びるという産業構造の好ましからざる転換と、地域経済の持続可能性のない一時的成長を招き、結局その反動としての東京一極繁栄をもたらした。このことは本誌2004年3月22日、29日号の「産業・雇用構造の転換に逆行した公共投資」(上・下)という論考で論じている。その後、財政危機が深刻化する中で財政が本来果たすべき建設的な機能が失われ、公共投資の抑制が近年の豪雨被害激甚化の一因になっている可能性が指摘される。本稿では、2回にわたり、平成年間の公共投資の変遷とこれが災害抵抗力や都道府県別の経済に及ぼした効果との相互関係を分析し、限られた財政資金制約のもとでの望ましい公共投資の将来のあり方を探る。

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よねざわ じゅんいち
東京大学法学部卒、大蔵省入省。主計局主計官、理財局国債課長、資金一課長、総務課長、同局次長、関税局長等を歴任。退官後、日本銀行理事等を経て、04年~12年金融情報システムセンター理事長。この間、政策研究大学院大学、同志社大学大学院等で客員教授・非常勤講師を勤める。