解説

実効性に課題が残る非公開化に際しての少数株主保護の枠組み

MoM条件を設定しても応募合意株主への対応に疑義がある事例も

フィデリティ投信 ヘッド・オブ・エンゲージメント /井川 智洋

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非公開化を伴う公開買い付けにおける少数株主保護の実効性を検証するため、筆者は近年の291事例を分析した。分析結果を見ると、MoM(マジョリティー・オブ・マイノリティー)条件を設定した事例はごく少数にとどまる。また、MoM条件を設定していても、買い付け者と利害関係を持ち得る株主を一般株主として扱う例もあった。日本において一般株主保護の仕組みはなお形式的な水準にとどまっているといえ、MoM条件を含む公正性担保措置の在り方について継続した検討が望まれる。

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いかわ ともひろ
国内外の金融機関で20年以上にわたりグローバル株式の投資業務に従事。19年にフィデリティ投信に入社し、21年から現職。投資先企業のサステナビリティー課題解決に向けた対話を通じ、企業価値向上に貢献できるよう活動。青山学院大学大学院サステナビリティ・マネジメント講座講師。