フィデリティ投信 ヘッド・オブ・エンゲージメント /井川 智洋
フィデリティ投信 ヘッド・オブ・エンゲージメント /井川 智洋
投稿日2025.11.14. /週刊金融財政事情 2025年11月18日号
非公開化を伴う公開買い付けにおける少数株主保護の実効性を検証するため、筆者は近年の291事例を分析した。分析結果を見ると、MoM(マジョリティー・オブ・マイノリティー)条件を設定した事例はごく少数にとどまる。また、MoM条件を設定していても、買い付け者と利害関係を持ち得る株主を一般株主として扱う例もあった。日本において一般株主保護の仕組みはなお形式的な水準にとどまっているといえ、MoM条件を含む公正性担保措置の在り方について継続した検討が望まれる。
いかわ ともひろ
国内外の金融機関で20年以上にわたりグローバル株式の投資業務に従事。19年にフィデリティ投信に入社し、21年から現職。投資先企業のサステナビリティー課題解決に向けた対話を通じ、企業価値向上に貢献できるよう活動。青山学院大学大学院サステナビリティ・マネジメント講座講師。