特集難局に直面する中央銀行

2%の「物価安定目標」に固執して金融政策正常化が遅れる日銀

国民感情に反して利上げに踏み切れずにいる理由

オフィス金融経済イニシアティブ 代表 /山本 謙三

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国内の消費者物価は前年比で3%前後に達し、なかでもコメ価格は5割近くも高騰しているため、国民からは怨嗟(えんさ)の声が絶えない。その挙げ句、7月の参議院選挙では与野党ともに物価高対策を公約に掲げ、給付金や消費減税などの公約を競い合った。しかし、物価高対策として給付金や減税を実施するのは筋違いだ。財政赤字の拡大は消費を刺激し、かえって物価の押し上げ要因となる。それ故、物価高対策の基本は金融政策で行われなければならない。しかし、当事者の日本銀行は、なかなか利上げに動こうとしてこなかった。なぜ国民感情に反して利上げに踏み切らないのか。

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やまもと けんぞう
76年日本銀行入行。金融市場局長、米州統括役、決済機構局長、金融機構局長を経て、08年理事。金融システム、決済の担当として、リーマンショックや東日本大震災への対応に当たる。12年NTTデータ経営研究所取締役会長、18年オフィス金融経済イニシアティブ代表(現職)。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書)。