第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト /熊野 英生
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市場関係者がトランプ関税の衝撃に目を奪われている間に、政界では「消費減税」という危険な政策メニューがまたぞろ浮上している。これまで「財政健全派」と見られてきた野田佳彦代表が率いる立憲民主党までも、食料品にかかる8%の消費税をゼロにする提案をしているのだ。原則1年間と打ち出しているものの、このままでは政府のガソリン補助金と同様にやめられなくなる蓋然性が高い。そもそも一度減税の流れを作ってしまうと、それをコントロールするのは政治的にも極めて難しいことは歴史が物語っている。だからこそ本来、簡単に消費減税へかじを切ってはいけないはずだが、この禁じ手がこぞって打たれようとしており、政治的不安定さはいっそう増している。
くまの ひでお
90年横浜国立大学経済学部卒、日本銀行入行。00年第一生命経済研究所入社。11年から現職。専門は金融政策、財政政策、為替・長短金利、経済統計。
掲載号 /週刊金融財政事情
4月25日に更新された4月29日号は、5月6日号、5月13日号との合併号のため、次回の更新日は5月16日になります。