特集正念場の財政・金融

実効性と改革の両立が求められる経済財政運営の在り方

「減税ありき」ではなく、財政赤字やインフレリスクも考慮せよ

東京財団政策研究所 研究主幹 /森信 茂樹

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わが国をはじめ先進諸国で財政ポピュリズムが蔓延している。しかし、本来は健全な経済政策を遂行する上で、責任ある財政運営によって財政赤字リスクやインフレリスクを軽減することが欠かせない。この意味で、基礎的財政収支の黒字化目標や債務残高GDP(国内総生産)比の安定的な引き下げ目標は堅持する必要がある。防衛財源はおおむね確保のメドが立ったが(法人税・たばこ税は26年度に増税、所得税の増税時期は先送り)、今後は基礎年金を充実させるための恒久財源の確保が課題となる。政府には、受益と負担について国民的議論を行いながら、責任ある財政運営をしていくことが求められる。

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もりのぶ しげき
法学博士。73年京都大学法学部卒、大蔵省入省。主税局総務課長、プリンストン大学で教鞭を執り、財務省財務総合研究所長を最後に06年退官。中央大学法科大学院教授を経て現職。著書に『デジタル経済と税』(19年、日本経済新聞出版社)など。